「無害化はできない」専門家会議の経過を紙上再現/豊洲移転破綻は明白

東京都議選(6月23日告示、7月2日投票)の最大争点、東京都・築地市場(中央区)の東京ガス豊洲工場跡地(江東区)への移転計画は、いよいよ破綻が明白になりました。18日に開かれた、豊洲市場用地の土壌汚染対策を議論する都の専門家会議(平田健正座長)の会合で、平田座長は、土壌の「無害化はできない」と発言。都が移転にあたって市場業者や都民にしていた無害化の約束を投げ捨てる発言に、傍聴した市場業者らから怒りの声が噴出しました。その経過を再現すると…。

汚染前提に対策委

傍聴席から批判の声が相次いだ専門家会議の会合=18日、東京・築地市場
傍聴席から批判の声が相次いだ専門家会議の会合=18日、東京・築地市場

冒頭、平田座長があいさつに立ちました。

あいさつで、平田座長はこの日の会合の目的について、豊洲新市場の主要施設の地下に、都が約束していた汚染対策の盛り土が行われず、地下空間(地下ピット)がつくられていることを前提として「地下ピットが盛り土の代わりの機能を果たすにはどうしたらよいのかを考える」ことだと述べました。

この日配られた新たな「対策案」も、地下に汚染が残ることを前提にして、①地下空間の底面にシートやコンクリートを敷く②地下空間を換気する―などというものでした。

この平田座長のあいさつと新たな「対策案」に対して、傍聴していた市場業者らから、「豊洲の(東京ガス)操業由来の汚染土壌はすべて除去し、無害化するという約束はできないという前提で新対策案を出すのか」「環境基準以下にすると約束した。それを棚に上げるのか」「無害化するという約束を放棄して新たな対策を提案するのはおかしい」と厳しい批判が相次ぎました。

市場業者らが指摘した「約束」とは、豊洲移転計画を推進するために、2008年に専門家会議が、土壌や地下水の汚染を「環境基準以下にする」ことを目標に提言し、都が取り組むとした二つの約束です。それは、①汚染土壌は掘削除去する②その上に盛り土をして遮断する―というものです。「無害化はできない」専門家会議の経過を紙上再現/豊洲移転破綻は明白

弁明歯切れ悪く

市場業者らの批判に対し、平田座長は「土壌汚染対策法と都の環境確保条例に基づく調査で見つかった操業由来の汚染土壌は除去されている。地下水も一度浄化されている」と発言。最近の調査で高い濃度の汚染がみつかった原因については「(汚染土壌が)わずかに底面付近に残っている可能性がある。それは1カ所ぐらいではないか」と話しました。

都は「操業由来の汚染は除去した」と説明してきましたが、除去できたのは都の調査で把握できたものに限られます。そもそも、都の土壌汚染調査は「水を通さず汚染が広がらない」とする地下の粘土層から深い部分は調べないなど、専門家から「ずさんだ」と批判されてきました。

会合では、土壌汚染は「1カ所ぐらい」との発言に、傍聴席からは怒りの声が続出。平田座長は「調査の中でわかっているのは1カ所(という意味だ)。でも、全部調べろと言うのだったら、豊洲の土壌全部を入れ替えなきゃいけない」と述べました。

しかし、汚染土壌の完全除去は、専門家会議や都が都民や市場業者に約束したはずです。即座に傍聴席から「(全部調べるのは)当たり前だ」との声があがり、平田座長は「土壌の調査で見つかった操業由来の汚染は除去している」「完全に除去したとは言っていない」と歯切れ悪く弁明しました。

約束撤回に怒り噴出

ここで会合は、いったん休憩となりました。

そして再開。冒頭、平田座長は、豊洲新市場の土壌汚染を環境基準以下にするという約束について「十分に達成されていない」と認める一方で、地下と地上を遮断する新たな対策を講じたら「魚や青果は大丈夫だと申し上げている。地上と地下を分けるということは突然言い出したことではない。(地下の)無害化と言うことは科学者としては難しい」と表明。新たな対策についても「(環境基準以下にすることを)目標にするものではない」と述べました。

都の松村明典市場長も「専門家会議にお願いしていることは、盛り土がないという状態の中でどうやったら安全、安心を確保できるのかということで、すべて環境基準以下に何が何でもするという方策を出してくれというお話をお願いしたことはない」と発言して“助け舟”を出しました。

ところが、傍聴席から「環境基準以下にしなくてよいと、専門家会議の場で(約束を)撤回していいのか」と怒りの声が噴き出し、平田座長はこう答えました。

「無害化を約束することはできない」「すべて環境基準(以下)にすることを私たちはめざしていない。(この会合で検討することは)汚染が残置されている状態で、じゃあどうするのかという話だ」

居直りともいえる発言に傍聴席が騒然となるなか、一人の市場業者が発言しました。

「われわれは盛り土するということで(移転の)合意形成をした。それ(約束)を棚に上げて(専門家会議で)話をするのは、われわれの立つ瀬がない」

会合は紛糾し、この日行うはずだった、地上と地下を遮断する対策案の説明はできないまま、打ち切りとなりました。

18日の会合の一連の経過は何を意味するのか―。日本共産党の志位和夫委員長は24日の記者会見で次のように指摘しました。

「18日の事態は、豊洲市場移転がいよいよ破綻したことを意味している。汚染土壌の上に生鮮食料品の市場を造るという根本矛盾が噴き出している。この問題にどういう態度をとるかは、いよいよ、(都議選で)すべての政党に問われる大争点になっている」

(「しんぶん赤旗」2017年5月26日付より)