築地市場 移転延期へ

調査結果判明まで

小池都知事がきょう表明

東京都の小池百合子知事は30日、11月7日に予定されている築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転計画を延期する方針を固めました。31日午後、正式表明します。小池知事は「今は精査しているところだが、近々会見を開いてきっちりと話をする」と報道陣に語りました。

小池知事は26日の定例会見で、11月7日の開場計画について「大きな疑問を持っている」と述べ、延期を検討していることを示唆しました。

新たな移転時期については、年末年始の繁忙期を避けるとともに、地下水の汚染調査の最終採取(11月29日)の結果が判明するのに2カ月近くかかることから、来年2月以降にする案が有力です。延期に伴う市場関係者への補償や、施設の使い勝手の悪さなどについても対応策を検討します。

豊洲新市場をめぐっては、土壌汚染対策費や建築費の高騰で整備費が5884億円に膨れ上がっています。市場施設の設計・建築、物流計画にさまざまな欠陥が明らかになり、市場業者や市民団体、建築家から「小手先だけの修正では解決しない。移転はきっぱり中止すべきだ」との声が高まっています。

日本共産党都議団は10日、移転計画を抜本的に再検討するよう、小池知事に申し入れました。

「築地市場の11月豊洲移転計画の抜本的再検討を求める申し入れ」の全文はこちら

東京・豊洲新市場予定地

土壌汚染など問題に

石原慎太郎知事(当時)は2001年に、水産物の取扱量で世界最大級の築地市場(中央区)の再整備をやめ、2キロ離れた江東区豊洲への移転方針を決定しました。その新市場用地は東京ガス工場跡地のため、発がん物質のベンゼンや、猛毒のシアン化合物、ヒ素など有害物質で高濃度汚染されていました。

11年の東日本大震災では液状化現象が発生し、汚染物質を含む砂が地表に噴き出ていたことが、日本共産党都議団の調査で判明しました。

舛添要一前知事は、地下水の汚染を監視する2年間のモニタリングで、採取した水の解析結果がでるのは来年1月以降になるにもかかわらず、11月7日に開場する計画を決定。築地市場業者は「『食の安全・安心』は保証できない」と批判、仲卸業者の過半数の319人が6月、国と都に開場計画の撤回を要請しました。

さらに、完成した青果棟の室内の大気中に環境基準の6割を超えるベンゼンが検出されていた事実が本紙報道(5日付)で判明し、大問題になっています。

《「豊洲新市場 室内汚染」8月5日付記事はこちら

(「しんぶん赤旗」2016年8月31日付より)