「ブラック研修」問題 吉良議員の追及(詳報)

質問する吉良よし子議員=23日、参院予算委
質問する吉良よし子議員=
23日、参院予算委

違法行為の周知徹底を

日本共産党の吉良よし子議員は23日の参院予算委員会で、企業が社員研修の名をかりて人権侵害を行う「ブラック研修」問題を取り上げ、実態把握や違法行為の周知徹底を政府に強く求めました。

吉良氏は、「ブラック研修」の典型的なパターンとして、▽研修中に外部との連絡を絶ち、隔離する▽大声でどなったり、体力の限界まで追い詰めたりして人格を否定する▽社訓・社長語録などを刷り込む▽1000件の電話アポイントや名刺交換などノルマを与える▽成功体験を与えて涙を流させる―などの手法を紹介。「こうした研修は、会社にたてつかない、もの言わぬ労働者をつくり、『ブラック企業』を成り立たせる道具になっている」と告発しました。

強制参加の事例

吉良氏は、医療関連企業の青年労働者から寄せられた相談で、宗教法人の請け負う「ブラック研修」に強制参加させされた事例をもとに問題点をただしました。

2拍3日の同研修は、ぎっしり寺修行でうまっており、初日は読経や写経が夜間まで及びます。

吉良 研修であっても、それが業務命令で行われ、夜間・早朝など時間外にまでわたるのであれば、当然、時間外手当を払わなければなりませんね。

塩崎恭久厚生労働相 自由がないまま強制される場合は、労働時間に該当する。

吉良 多くの研修で残業代未払いが生じている。実態を調査し、指導すべきだ。

厚労相 不適切な取り扱いが認められる場合には、厳しく対処する。

吉良氏は、研修内容が業務とはほとんど関連性がなく、寒い時期に川や滝に入るなど苦行を強いていると批判。不合理な内容や人格権を侵害する教育訓練が違法だとされた判例(仙台高裁秋田支部判決、最高裁確定、1996年2月23日)を指摘しました。

吉良 業務に関連性のない苦行を強いるような研修を見過ごしていいのか

厚労相 業務上の研修であっても、職務上の地位の優位性を背景にして、業務の適正な範囲を超えて、働く方々に精神的身体的苦痛を与え、尊厳とか人格を傷つける行為は許されない。なくしていかなければならない。

吉良 指導しなくていいのか。

厚労相 労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、こういった法律に違反する場合には、当然対応し、指導しなければならない。

吉良氏は、研修として宗教行為を強制していることについても、さまざまな宗教宗派を信仰する社員がいるもとで、憲法の信教の自由、労働基準法3条「国籍、信条による差別の禁止」に抵触すると述べ、判例(名古屋地裁判決、1963年4月26日)を紹介。厚労省が積極的にブラック研修の是正に乗り出すよう提案しました。

実態を把握せよ

吉良 厚労省はまず違法・無法な研修の実態を把握すべきだ。研修時も残業代は支払うべきことや、業務と関連のない精神修養や苦行、宗教行為の押し付けは違法である旨のガイドラインをつくるなどして周知徹底すべきだ。

厚労相 労働局などの総合労働相談コーナーで相談を受け付けている。悪質な研修についての相談状況についても把握につとめたい。

吉良 相談を待つだけではなく、「こういう研修は望ましくない」と率先して周知徹底していただきたい。

(「しんぶん赤旗」2015年3月26日付「論戦ハイライト」より)